第9回PIPIT交流会「多様化する農ビジネス」開催しました
今回のテーマは「多様化する農ビジネス」。生産するだけの「農業」の枠に収まらず、食を作り、雇用を生み出すなど農にまつわる多様化したビジネスを展開しておられる先達2名と、遠賀町から農業実践者である筋田農園の筋田氏にビジネスプランを発表いただきました。
実施日時:12月13日(水) 19:00~21:00
・白仁田 裕二(しらにた ゆうじ)氏
(ファインフーヅサービス株式会社代表取締役/おなか元気ぐるーぷ代表/おなか元気園代表)
『農と食、循環する暮らし』
白仁田氏が取り組んでいらっしゃる、飲食業と福祉サービス業と農業についてお話しいただきました。農業はやってはいけないと親御さんたちから言われていましたが、30年前飲食業を始めてから、農業も10年前から始めました。微生物の力で健康をつくる。土づくりも微生物が大切ということ。『医は食に、食は農に、農は自然に学べ』を活動のポイントおいて活動されていること。耕作放棄地を借りて農業を開始、飲食業で出た残飯、廃棄物を農地に戻して循環させている有機農業についても話していただきました。有機農業は機械化しづらいので、福祉サービス利用者さん方の力を借りて実現させています。飲食と福祉サービス業と農業をバランスよく運営するポイントを教えていただきました。
<白仁田氏プロフィール>
1960年4月29日生まれ 佐賀県鹿島市出身
久留米市生ごみリサイクル食育アドバイザー、NPO久留米大地と命の会代表。
久留米市内で「おなか元気居酒屋まんまる」と「おなか元気れすとらんほとめき庵・道の駅くるめ内」を各1店舗、生ごみを使った無農薬無化学肥料の野菜農園「おなか元気園」を経営。佐賀の実家は農業を営む。26歳の時、縁あって久留米の地で創業。大学は工学部で2年の時に自主卒業し、㈱ロイヤル等で勉強した後の独立。当初はホテル内のレストランや宴会場の料理を提供。途中しゃぶしゃぶの店や屋台村などを展開。野菜の作り手がいなかったため、自分で野菜まで作ろうと一大決心、野菜作りを始めて、いろいろな可能性が見えるようになる。
「健康」「環境」「リサイクル」「雇用創生」と様々な切り口で事業展開。
・上田 浩司(うえだ ひろし)氏(社会福祉法人さつき会、はまゆうワークセンター施設長)
『障がい者の働く喜びを農ビジネスでつなぐ』
宗像市と大野城市で福祉サービス事業を通していろいろな活動をされています。
お父さんが当時ではとても珍しかったグループホームを運営し、合わせてその利用者さんが自立できるよう養鶏場も始め、その経緯で社会福祉法人さつき会もつくられました。玄海はまゆう学園で作っていたサツマイモを県のアドバイスで酒造会社に持ち込み、酒造会社に焼酎を作ってもらい、それを販売して障がいのある利用者さんの工賃をアップできました。そのことが就労訓練にもなり、利用者さんの就職にもつながるようになりました。自分のところだけではできないことが、企業と連携することで色々な可能性が見つけられました。「みかんのお酒」「オレンジピールのチョコレート」「ドレッシング」等、産み出せた話、障がいのある人の活躍を聞かせて頂きました。
<上田 浩司氏プロフィール>
社会福祉法人さつき会 はまゆうワークセンター施設長。
地域の農家や企業と協力して商品販売を行いながら「障害の有無に関係のない、誰もが住みよい街」を目指し、地域と共に街づくりに取り組んでいる。
・筋田 晃司(すじた こうじ)氏(合同会社 筋田農園 代表社員)
『農業を次世代に繋げたい』
大学では情報科学を専攻。その後、北九州市で玄海青年の家の職員として働き、岡垣町の『ぶどうの樹』で働きました。父親から農業をしてみないかと言われ、30歳で就農、法人化しました。有機農業を応援してきてくださったファンの方々の為に有機農業を続けることと、後継者を育てることを目標に今後、農業をやっていきたい。また、現行の販路を生かした売り上げと、契約栽培などの新しい売り上げをもって、経営基盤の強化を行いながら、2023年までには売り上げ2,000万を達成できるようにしていきたい意気込みも話していただきました。
<筋田 晃司氏プロフィール>
合同会社 筋田農園 代表社員。福岡県有機農業研究会所属。
遠賀町で父親から有機農業を継承し、3年目。3世代がきちんとした収入を得ることができる農業経営が目標。
参加された方々からは、「ほかの業種でもそうですが、他企業とコラボでまた違った可能性も生み出せると改めて思いました。」「障害者を助けるのではなく、輝ける社会になったら、もっと住みやすくなるのだと思いました。」、「農・食・そして貢献について大変おもしろく、学ぶことが出来ました。」「いろんな切り口で農業と関わってビジネスされている人の話は面白かった。」などの農業・福祉・協働といったお話が皆さんとても参考になった様子でした。
発表いただいたスピーカーの皆さまありがとうございました。