遠賀町起業支援施設PIPIT(ピピット)
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「地域の魅力を編み、売り出す~農業・農村・食から起こすビジネス~」第43回PIPIT交流会(5月24日開催)

2022年 06月 08日

 今回の交流会は「地域の魅力を編み、売り出す」をテーマに、3名の起業家にご登壇いただきました。

 新型コロナウイルス感染予防対策のもとPIPIT会場に発表者と参加者が来館され、またオンラインでも発表者と多くの方々にご参加をいただきました。

◆起業家プレゼンテーション(18:35~20:05)

〇プレゼンテーション1

『無駄なコストは使わない!?糸島ねぎ農家の六次産業化』

~年間3万本!糸島ねぎ油シリーズが売れるようになるまで~

 弥冨 明子 氏:株式会社Carna(糸島市)

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 弥冨氏は糸島で200年以上続くねぎ農家です。 自家産の「ねぎ」等を原料とした商品を販売する「株式会社Carna(カルナ)」という会社を立ち上げ、代表であると同時に商品を開発し、デザイン、販売、広報までを担当しています。また、糸島の食と歴史を知ってほしいと『shittokaina?(知っとうかいな)糸島』という本の編集長もしています。

 Carnaのねぎ加工品は各種ありますが、その中でも「ねぎ油」シリーズは年間約3万本売れています。しかし、5年前に商品開発を始めた時はノウハウ「ゼロ」からのスタートだったそうです。

 販売活動の一つに展示会がありますが、商品が売れるためには準備が最も重要だそうです。まず、その商品は生産能力がどれくらいあり、どこでどのくらい売りたいのかを明確にする必要があります。産直で売るのか、スーパー、百貨店、催事などで、マーケットが異なるからです。

 商品開発については、付加価値をつけられる商品になっているかを見極め、産地へのこだわりや添加物の有無などを軸にした比較表を作成し、価格設定は、原価計算を正確に行った上で、生産ロットと送料を計算しておくことも大事なのだそうです。
 展示会では、販売ターゲットが明確になっていれば、該当する人にだけアプローチできます。商品のサンプルもターゲット以外には渡さないようにしているそうです。
 経費については、展示会の出展費用や販促POPなどは補助金が出ることが多く、しっかり活用することが重要で、パッケージデザインもどこに頼むのかによって必要な金額が違うそうです。

 商品PRやファンづくりには百貨店催事は効果的で、その時は売れなくてもネット販売への誘導もできます。やはり目的を明確にすることが大事なのだそうです。

 さらに弥冨氏は「糸島のねぎ」をもっと多くの人に知ってもらうために『糸島Negiフェス』というイベントを開催。ストーリーをつくり出すことで、糸島の農林水産業をPRしてメディアに取り上げてもらうこともできました。

 もともと商品力には自信があるところに目的を明確化し、準備や計画をしっかり行いながらリピーターを増やすことで販売数増に繋げています。最後に「毎年の販売実績の推移など、数字を出してみることも大事なことです。」と話されました。

〇プレゼンテーション2

『出来ないは出来るに変わる最大のチャンスです』

 藤木 浩美 氏:corasita(宮崎県五ヶ瀬町)

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 藤木氏は、実家である宮崎県五ヶ瀬町の株式会社藤木石油店で、地域の自然の恵みを生かしたサービスとして始めた、自社農場で栽培したトマトの加工品開発と、新規で立ち上げた「体験・宿泊部門」での料理教室、「オーベルジュ(泊まれるレストラン)」を担当しています。

 藤木氏は「日本イタリア料理教室協会」に所属してイタリア料理を家庭に広める活動もされ、自社ブランドのトマト『四億年のめぐみ』が農林水産省主催の『フードアクションニッポンアワード2017』で入賞するなど、農場・食品製造では「ママの手作り味を届ける」、宿泊・体験では「"技術"のお土産をお客様へ」というミッションをもって事業を進めています。

 実は10年前まで、藤木氏は料理も農業も商品開発も全くしたことがありませんでした。しかし、大学を出て五ヶ瀬に帰って来た時に友人から言われた「こんなところに帰ってきてかわいそうね」と、厳しかった母親から突然言われた「明日からお母さん、農家カフェするの。よろしくね」という2つの言葉が藤木氏を動かしました。友人の言葉がとてもショックだったばかりか、母親は祖父が始めた農場から出荷できないミニトマトがもったいないからソースを作ろうと考えており、藤木氏は「それでいいのかな?本当に美味しいものを、本物をお客様に届けたい」と気づいて母親の想いを形にしたいと考え、6次産業化の勉強会に参加したり、「農×食×観光」を三本柱と決めて観光塾への入塾や料理の勉強を進めたりしたそうです。

 さらにトマトとその料理・加工品の歴史・地域とのつながり・背景を自分の目と耳で確かめたくなり、旅費を銀行から借入れ、イタリアへ短期留学に旅立ちました。現地でトマトはもちろん、地方の生活や食文化を体験、小さな村々を訪ねて様々なハプニングにも逢ったそうですが、事業のヒントをつかんで帰国されました。その体験を活かして2017年には料理教室と「オーベルジュ」を開業、ここでしか味わえない体験を提供しています。

 「どうやったら良いのか?」という疑問が生じた時には、シンプルに「やってみる、行(い)ってみる、やり直してみる」というのが藤木氏の考え方で、自社だけでは難しい商品開発・販路展開は他の企業と連携したり、一次加工や包装などは地元の就労支援事業所へ委託したりしています。

 最近では農園にアウトドアダイニング展望スペースも作り、体験の魅力を高めています。また、宮崎ならではの暮らしをオンライン配信するためにドローンも購入したそうです。

 宮崎の方言を体験・宿泊部門の名前にした「corasita(こらした)」ですが、頭文字の「C」にはChance Challenge Change「チャンスを掴み挑戦する!そして変化に柔軟に」の想いを込めているそうです。「自分がチャンスを逃さずにチャレンジして来れたことで、これから事業を始める人の勇気になりたい。」と話されました。

〇プレゼンテーション3

『大谷翔平に学ぶ目標達成のための計画と達成のやり方』

~身近な事から始める「目標達成シート」の作り方~

 藤瀬 吉徳 氏:農家民宿 具座(佐賀県佐賀市)

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 藤瀬氏は18年前、役場を退職して、佐賀市三瀬村で夫婦で民宿「具座」を始めました。三瀬村は農業をするには厳しい環境で、民宿もまだ「具座」1軒だけですが、コロナ禍前には年間で宿泊客500名、日帰り客500名を集め、マウンテンバイク会場やキャンプ場を開設するなど新しい事業も取り入れてきました。近々、加工食品の通販も始める予定だそうです。

 三瀬村は町に近いが自然も豊かで、温泉や観光農園なども多く、韓国を始めとした海外からのお客様にも魅力的な地域です。そこで英語表記のホームページやフェイスブックを開設し、海外のブロガーやユーチューバーとの連携、海外のテレビドラマのロケ地として提供するなど、海外に向けてのPRを続けています。藤瀬氏が心がけていることは、「具座」ならではの①「ふれあい」・②「体験」・③「料理」です。

 ①「ふれあい」では日本の田舎の暮らしを体感することが貴重であり、身振り手振りでの語らいこそ、
  海外からのお客様には最も楽しい体験となっています。

 ②「体験」では畑での収穫、山歩き、薪割りと釜戸炊飯など、地域資源を活かしたメニューを季節ごとに
  変えて提供しています。ピザづくりも人気で、民宿で収穫体験した野菜やしいたけなどをトッピングに
  使い、生地づくりから全て体験してもらいます。

 ③「料理」でも野菜や山菜を中心に自然の恵みを味わってもらいますが、毎年新しい料理を取り入れて
  少しずつ進化させているそうです。

 藤瀬氏は、「大谷翔平に学ぶ目標達成シート」を活用しています。これは大リーグの大谷翔平選手が高校1年の時に監督から言われ、「高校3年で何を目指すのか」を書いたシートです。

 藤瀬氏はこのシートを自分の暮らしや地域の課題解決のために取り入れており、その中から「68歳でフルマラソンを3時間で走る」、「集落の暮らしを守る」、「三瀬村の農業担い手不足解消」などのシートを披露されました。

 藤瀬氏はこの日登壇された2人のプレゼンを聞き、自分の商品を売る仕組みがしっかりしていると感じ、「また目標達成シートに落とし込みたい」と話されました。

◆意見交換・質疑応答

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 意見交換では登壇者に対して、商品のストーリーはどうやって作るのか、サービス拡大のための人材はどうやって募集しているのか、企業等との連携の仕組みづくり方法等、様々な質問や意見が出されました。

 参加者からは「お三方とも、ストーリーやロジックがあり、非常に学ぶところが多かったです」、「地域のブランド作りに奮闘・精進されている姿勢が素晴らしかった」等の感想をいただきました。

 ご登壇いただきました発表者の皆さま、ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました。