遠賀町起業支援施設PIPIT(ピピット)
遠賀町起業支援施設PIPIT(ピピット)

「地域に根ざす起業家」第36回PIPIT交流会(6月22日開催)

2021年 07月 09日

今回の交流会は「地域に根ざす起業家」をテーマに、福岡市西区、大分県日田市、八女市黒木町から、それぞれの地域でご活躍中の3名の講師に登壇いただきました。

新型コロナウイルス感染の緊急事態宣言が解除になりPIPITが通常開館になった翌日に、感染予防対策のもとPIPIT会場には講師とご参加者が集まられ、またオンラインでも多くのご参加をいただき開催いたしました。

◆起業家プレゼンテーション(18:35~19:05)

◇プレゼンテーション1

「健康づくりも地産地消!古民家活用で地域の保健室~『好き』を仕事にできる喜び~」

 塩生 好紀 氏(シオニュウ コウキ)(株式会社NewSupport 代表取締役)

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塩生氏は福岡市西区で、古民家を活用して看護師の居るカフェ「伊都アクティブカフェ 新 -Arata-」を運営されています。

ご自身が小学生時代に不登校で、地域の方々に支えられながら過ごされたご経験から、地域の健康支援と不登校支援を主にして2015年に起業されました。

起業当初は介護施設のサポートや地域の健康支援を軸に訪問サービスを展開され、「伊都アクティブカフェ 新 -Arata-」は、シニア向けの総合事業として立ち上げられたそうです。そこでは「一人一人にオーダーメイドな健康づくり」として、看護師や心理カウンセラーとカフェで美味しい飲み物を飲みながら会話をして健康づくりにつなげる他、整骨院やトレーニング&リハビリスペースも併設され、筋肉や栄養状態のチェックまで行える「地域の保健室」を目指しています。

また、空き家対策も含めて、地域にある他の施設や企業などとの関わりや繋がりを大切にされ、地産地消の健康づくりを進められています。

今ではカフェのユーザーは高齢者に限らず、子どもや子育て中の母親、社会人まで、特にコロナ禍で健康に課題のある方にサービスを提供しているとのことです。

講演では、地域に根ざすための取組みや意識、課題なども披露していただき、高齢者が元気でいられるための取組みや地域の雇用などへの関りについてもお話しいただきました。

◇プレゼンテーション2

「地域に新しい仕事を作るという事」

 岡野 涼子 氏 (一般社団法人NINAU 代表理事)

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岡野氏は日田市の出身で、東京から大分市へUターンされ、地元のテレビ局に入られました。テレビ局時代には大分県内市町村を隈なくまわられたそうです。その後「地元の日田を元気にしたい」との想いを持って日田市に戻って来られました。

大分大学で地方創生推進事業として人材育成に携われた時には、若者が地域で暮らせる仕組みを創る事の必要性を強く感じられたそうです。日田の高校生が「日田には何もない。仕事もない。」と言って地域から離れてしまうことを変えていきたいと、一般社団法人を設立され、高校生とシニア層の話し合いの場を設けたり、小学生から9年間のキャリア教育などを行ってこられました。この法人を核にして、行政や教育委員会、企業や商工会議所、ユーザー等を巻き込んで運営人材確保や人材教育に取り組まれています。

岡野氏はこの取組みを「仕組みのリノベーション」と名付け、今あるものに新しい価値を付加することで「若者が地域で暮らせる仕組みづくり」を実践されています。「日田にも世界をリードする地場企業は必ずある。」「日田にも格好いい仕事はたくさんある。」という言葉も印象的でした。

また近年は公民連携でのまちづくりとして日田駅と日田駅前広場の活用に取り組んでいらっしゃいます。宿泊業や飲食業、イベント事業を通じて地域共生型の滞在システムを創ることをミッションに掲げられ、プロジェクトベースで関わってくれる仲間に新しい働き方の提供も始められています。

◇プレゼンテーション3

「農山村に暮らす人と都市に暮らす人をつなぐ ~持続的で豊かな暮らしと仕事を考える~」

 小森 耕太 氏(認定NPO法人山村塾 理事長)

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小森氏は大学生だった21年前にボランティア活動で八女市笠原地区を訪れ、そこで暮らす人たちの仕事や考え方に惹かれて、卒業後に移住されました。地域の生活や仕事などを「体験できる場所」をつくりたいと、当時は会員が「農家2軒」だった『山村塾』の事務局として活動を開始され、今ではNPO法人山村塾の理事長を務められています。

山村塾の事業は、体験・交流を通じた人材育成、商品企画販売、学び、アート、ボランティア、連携等から組み立てられていますが、いずれも都市と農山村(笠原地区)とをつなぐことで成り立っている事業です。人材育成では県や大学、企業などからの研修を受け入れ、ボランティア合宿では海外からの国際ボランティア合宿を年間130日以上も実施されています。また9年前の九州北部豪雨による水害で大きな被害が発生して支援を受けたことから、今では自らが災害支援を実践されています。コロナ禍にあった昨年も新しいアート事業を始められ、常に積極的な事業展開を続けられています。

NPO法人は小回りもきき、活動をスタートするときの機動力が魅力だそうですが、今では会員数127名、スタッフ5名で確立した運営体制を築かれています。

「私たちの取組みは、多様な人に活動に参加してもらい、それぞれの立場で持続的で豊かな暮らしや仕事を考えてもらうことが大事。」と締めくくられました。

◆意見交換・質疑応答

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意見交換では、各講師の法人格の選び方や実現したい社会像等について様々な質問や意見が出されました。

参加者からは「それぞれに起業のあり方が聞けて良かった」「元気が出る話がたくさんあって、ワクワクするアイデアを思いつきそうです」といった感想が寄せられました。

ご登壇いただきました講師の皆さま、ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました。