遠賀町起業支援施設PIPIT(ピピット)
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第14回PIPIT交流会 『(移住+定住+リノベーション+シェアハウス+コミュニティ)×おんが=∞(∞)』(5月30日開催)

2018年 05月 31日

 今回は、移住・定住に関する様々な活動をされている、お二人にお話しいただきました。

参加者は、空き家の有効利用を検討している方、民泊やお試し移住、空き家プロジェクトをされている方、コーヒー豆のビジネスのための場所を考えている方、不動産業の方など多岐にわたり、県外から来られた方もいらっしゃいました。

第14回PIPIT交流会ちらし.pdf

◆プレゼンテーション
・『福岡移住計画の活動と遊休不動産活用型の拠点づくり』

   株式会社スマートデザインアソシエーション 代表取締役 須賀大介(すが だいすけ)氏

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 須賀氏は茨城県水戸市出身。26歳で会社を立ち上げ10年経った頃、東日本大震災に遭います。日本橋へ移動中に地震で地下鉄が止まり、外苑前で地上に上がった時に第2波が来ました。その日は中央分離帯で、そこにいた人たちと身を寄せ合って過ごしました。そして、その体験が、自分の働き方を考えるきっかけになったと言います。その後、家族で福岡を訪れた時、幸せそうに人々が過ごしている姿を見て福岡への移住を決めました。

 福岡県糸島市へ移住した時、地元の人たちが仕事の面でも、居場所(コミュニティー)でも助けてくれました。そんな時、「地元にこんな風に紹介してくれる顔役の人がいたら、外から来た人が助かる。」と思い、『福岡移住計画』プロジェクトを始めました。

 福岡在住の、面白いことをやっている人や頑張っている人にフォーカスし、その人の住まいと仕事の記事を発信。3年間で400人くらいの方を紹介しました。そして、移住者が必要とする3つの要素『居:居場所づくり』『職:しごと情報収集』『住:物件情報収集』のサポートとして、地域にある空き家、地域にしかない仕事等も紹介しています。
 また、情報発信サイトのほかにも、企業が持っている空きビルや行政・自治体の持っているキャンプ場などを利用し、そこに人を呼んで、繋いで、新しい可能性を生み出していこうという活動をされています。 

 次に取り組んでいるのは、遊休不動産の活用です。スーパーマーケットを改装して移住者のトライアルステイ、コワーキング、イベント開催、カフェなどの利用者に貸し出すサブリース事業、ビルオーナーと一緒に経営していく共同事業などを手掛けていますが、その事業の一例がシェアオフィスです。
 グローバル化・デジタル化・AI化する時代、「競争社会」から「共創社会」へ、人がどのように暮らしていくか、働いていくか、生きがいを感じる、幸せを感じる生活を考える上では、仕事をする場所も、決められた1つの場所だけではなく、複数の場所が必要となることもあります。そこで、東京、久留米など全国数ヶ所のシェアスペースをつないで、それらをオフィスとして月額3万円で全てを使うことが出来るサービスを開始しました。そして、その拠点の一つに、福岡市西区今宿に設立したシェアオフィス『SOLT』があります。ここでは、コワーキングスペースで60人くらいの若い人が働いており、この場所で入居メンバーと外部メンバーが交流したり、遊んだり、共に仕事をつくって高め合っているとのことです。

 「地方で働いている人がこれらのシェアスペースで出会って、繋がっていき、新しい可能性を生み出していく際には、サポートも必要になってきます。『お金がない若い人が、色々なアイデアを出して、投資家や地銀がお金を出す。』、『情熱はあるが、専門知識がない人には、専門知識を持つ実務者がサポートする。』など、ワークスペースを繋ぐだけではなく、そのまわりの人やモノを繋いでいけるようになりたい。東京での満員電車通勤で大変な仕事をしている人が、地方で生き生き働いていけるようにサポートしたい。」と須賀氏は話されました。

・『地域社会課題をビジネスで解決するときに必要な3つのこと』
   合同会社よかごつ代表 大堂良太(おおどう りょうた)氏

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 熊本出身で九州大学を卒業。東京の商社で10年勤めた後、福岡に帰ってこられました。
そして、糸島に来て、400人くらいの地元の人と出会い、話しをすることで、学生寮・空き家・泊るところ・九大生の悩み・バイトの問題等、課題の発見が出来たそうです。そこからその問題の一つ、「学生寮」に着手します。
 「学生寮」の立ち上げでは、物件探し、市街地調整区域での「学生寮」の許可、地域住民から理解を得ることが課題でした。中でも現行の市街化調整区域では「学生寮」は許可されたことがなく、昨年9月に手掛けた古民家を活用した学生寮が日本でその第1号となりました。そして今年の3月には2棟目をオープンし、現在は2棟で10人の学生が寮生活を送っています。物件については、146年前の明治4年(廃藩置県の年)に建てられた古民家のオーナーが、ご高齢で管理ができなくなるため、知人からこの家を紹介してもらうことができました。この1棟目は、今では貴重なたんす階段のある家で、一人当たり10畳以上で寮費は3万円/月。2棟目のオーナーは本好きで蔵書が5,000冊ほどあり、学生は読み放題というすばらしい環境です。
 そもそも「学生寮」で起業しようとしたきっかけは、大堂さんが小さいころや学生時代の共同生活にさかのぼります。規則正しい生活で上下関係のコミュニケーションや言葉遣いなどが、大人になる過程でいい刺激になったと話されます。
 学生は、地域で行うバーベキューや映画の上映会、近所の草刈り、まつりの手伝いなどに参加しているほか、地域交流もうまくいっているようで、時には近所の農家さんからお米や『あまおう』など農産物をもらい、寮生がもらったイチゴでクリスマスケーキを作って、お返しをしたりしているそうです。 
 今後は、九大生が近くの公民館で、小学校高学年から中学生に勉強を教える、地域寺小屋も計画しています。また、今年6月に空き家を利用してゲストハウスを、また、8月にはビリヤードや卓球ができるカフェをオープンさせ、まだ学生が憩えるところが少ない九大の周りに、そういったスペースをつくることで、外から学生を支援したいと語っていただきました。

 大堂さんが他にも実現したいことは・・・
・リノベーションスクールを開校すること。
・アジアの乗り物トゥクトゥク100台くらいで、レンタカーをやり、糸島と言えばトゥクトゥクというくらいの観光名物にすること。
・現在、糸島には年間700万人くらいが観光に来ているが、日本人が97%、外国人が3%くらいなので、もっと多くの外国人に来てもらえるようにしたい。そのために空き家を利用して地域のインバウンド観光を盛んにしていくことも考えている。通訳はアルバイトとして九大の留学生にしてもらい、また、学生の英語力を高める効果のあるバイトとして根付かせたい。
など。

 大堂さんは、起業できたことを以下のように自己分析されています。
①「ぶれない軸を持っていたこと」
②「何もないところから作り出せたこと」(仲間を頼る発想)
③「現場傾聴力があったこと」(答えは現場に落ちている)
「今後、いろいろと相談をさせていただいたり、アイデアをいただいたりしたいので、今日参加された皆さんとも是非フェイスブックなどでつながっていきたい。」と話されました。

<参加者の声>
「『折れない・ぶれない・善なる動機』の言葉に感動した。あらゆる仕事に大切な言葉だと思った。」
「空き家活用・社会課題のビジネスによる解決の点で大変参考になった。」
「何をするにも、それをなぜしたいのかという"思い"が大事であるということを勉強できた。」


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須賀氏、大堂氏、貴重なお話をありがとうございました。
また、この交流会にご参加いただいた皆さま、ありがとうございました。

次回の交流会をお楽しみに!