「食品関連事業者の食品安全対策の取り組み方」(セミナー付個別相談)1/30開催
食品業界は、2020年を境に大きな転換期を迎えようとしています。年々変化する外部環境や法律改正の問題への対応、あるいは消費者に選ばれる商品づくりをするための相談に、食品業界に精通した株式会社フードプロジェクト製作所代表取締役の溝口好一氏が応じてくださいました。個別相談終了後には、「食品製造者の食品安全対策の取り組み方」セミナーを開催しました。
食品製造者におけるHACCP
食品製造においては、以前にも増して「HACCP*」に沿った食品衛生管理の取り組みが求められるようになっています。この日溝口氏に相談した3名のうち、製造環境に関する質問をした最初の相談者は、温度設定や監視方法などの工程管理が衛生面で特に重要だと助言されました。
また、生産する農産物を加工して販売することを模索している相談者には、加工品は農産物と販路・流通・売場が異なるため注意が必要なことと、競合先との差別化やターゲットに合わせた戦略の構築が必要だとアドバイスがありました。また、卸販売における食品表示についての質問には、製品規格書の内容に準じていることが何よりも大切だという説明でした。
*HACCPとは・・・原材料の受入から最終製品までの工程ごとに、微生物による汚染、金属の混入などの危害を予測した上で、危害の防止につながる特に重要な工程を継続的に監視・記録する工程管理の手法。
食品製造業界でなぜ安全対策が求められているのか
ライフスタイルが変化し、調理されたものを購入して食べる機会が多くなったことに伴い、食の安全に対する関心はますます高まっています。その対策に困っているという声が大きくなっているのを背景に、個別相談の後には、「食品関連事業者の食品安全対策の取り組み方」について講演が行われました。
安全な食品を作るためには、法令を守ることはもちろん、食中毒・微生物の発生する状況や原因を知り、PH(水素イオン指数)や水分活性などエビデンスの指標を理解し、対策を講じることが必要だという解説がありました。その他にも、異物混入の対策や食物アレルギーの表示を怠らないことが、食の安全のために大切だといいます。
運営ルール作りが必要
食品の安全対策のために何が必要なのかを把握した後は、衛生管理計画を作ることが求められます。個別相談でも言及のあったHACCPに沿った衛生管理の実施とともに、関係する各種条例を把握し、順守しなくてはなりません。例えば、出勤から退勤までの全作業をカバーしたルールや、調理を始めてから出荷・提供するまでの工程管理のルールなどが必要だと考えられます。
講義の最後には、流通ルートが多角化している現在、いかなるケースにおいても安全を証明し、安心感を与えるための「見える化」が重要だという言葉が、この日のまとめとして溝口氏の口から語られました。食品業界で起業するために必要な準備や、食の安全・コンプライアンスや法改正に対応しながら事業を継続していくポイントについて、多くの成果が得られた講義だったのではないでしょうか。