『私は創造的でありたい』 米国Apple社が認めた83歳のアプリ開発者 若宮 正子氏 講演(第8回遠賀町起業支援セミナー)(9月2日開催)
IT人材の不足が叫ばれる中、最高齢のデジタルクリエーターとして、世界中で注目を集めている若宮氏。
定年退職後にパソコンと出会い、好奇心を原動力にプログラミングを習得、ゲームアプリを開発して、世界中に配信されるまでになりました。「人生100年時代構想会議」の有識者にも選ばれ、今やアクティブシニアのシンボル。その視点や人間にしかできない仕事「創造」について語っていただきました。
銀行員時代から「改善提案」を得意とし、「思いついたら、やる」「失敗しても気にしない」精神で、行動してきた若宮氏。親の介護をしながら深めたIT技術は、若宮氏にとって、楽しい「創造」を実現するためのツール。維持費がかかることもなければ、盗まれることもない「永遠の原資」となり、「得意先」も自然に増えていくことになります。
若宮氏が開発したアプリ「hinadan(ひな檀)」は、雛人形を正しい位置に置いていくゲーム。「そりゃ大変だったけど、まるで映画監督の気分でね。」と楽しそうに開発時を振り返ります。ゆったりとしたナレーションや音、シンプルな動きに、これまでITと無縁だったハイシニアは大喜び。また、障がいのある子どもたちも楽しめるアプリとなりました。
米国アップル社からの招待を受けてシリコンバレーを訪ねたり、中国の現状を視察したり。シニアとITについて、政治家に提言する機会もあれば、小学生に電子工作を教えることもある日々。その人柄もあって、幅広い年齢の事情通や専門家とつながった若宮氏の人生は、まさに著書「60歳をすぎると、人生はどんどん面白くなります。」の通り、好循環で回っていきます。
ハイスピードで進化するデジタルの世界。現状を知る若宮氏が繰り返し話すのは、これからの時代、デジタルの世界の役割はさらにパーソナルに、生活に、現場に、密着したものになっていくとしても、そこにある「創造」、それこそが人間にしかできない仕事だということ。そうであれば、人間力豊かなシニアはもちろん、女性やマイノリティとしての視点が「活きるシーンはまだまだあるのでは?」という気になってきます。
「一日24時間しかないから苦労しちゃうわ。」と明るくぼやく若宮氏。何かを始めるのに年齢はハンディにならないし、創造力さえあれば仕事は作り出せる、そう確信するセミナーとなりました。
若宮様、ご来場いただきました皆様、どうもありがとうございました!