遠賀町起業支援施設PIPIT(ピピット)
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「地域課題を資源に変える起業家~あるもの探しは楽しい~」第45回PIPIT交流会(9月21日オンライン開催)

2022年 10月 06日

 今回の交流会は「地域課題を資源に変える起業家~あるもの探しは楽しい~」をテーマに、3名の起業家にご登壇いただきました。

 新型コロナウイルス感染拡大防止のため、オンラインにて開催しましたが、今回も多くの方々にご参加いただきました。

◆起業家プレゼンテーション(18:35~20:05)

〇プレゼンテーション1

「人口減少最先端の地から見えてきた、まちづくり会社のあり方」

 土屋 望生 氏 株式会社日添 取締役 (熊本県五木村)

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 土屋氏は九州で一番人口の少ない熊本県五木村に生まれ、大学卒業後に東京のNPO法人で様々な地域での地域づくりに携わり、2018年に五木村にUターンして『株式会社日添』を設立されました。

 もともと地域活性化には全く興味がなかったそうですが、大人たちが五木村の愚痴を言っている場に遭遇し、自分も同じように愚痴を言っていることに気がつき、自分自身に腹が立ってしまったことで地域づくりに携わるようになりました。都会と違って自分で生きるスキルをもって生きている五木村の人を「カッコイイ」と感じています。

 土屋氏の事業は、マイナスをゼロにする課題解決ではなく、ゼロからプラスをつくり出す「地域の幸せづくり」であり、「今いる人がいかに幸せに生きられるか」を大切にしています。そのために土屋氏は3つの組織を経営しています。

 『株式会社日添』は主に「商売」をしている組織で、『NPO法人いつきつなぎ』は公共性の高い活動を、『五木村複業協同組合』は人手が足りない事業所への派遣会社として運営しています。

 土屋氏は個人的な目標として、「生産年齢人口全員の平均年収60万円アップ」と「村人全員が、五木村だからこそ、五木村ならではの楽しみや誇り、前向きなここにいる理由を持っている」の2つを掲げており、「楽しみ」と「稼ぎ」があれば、人はその地域に住み続けると考え、事業を進めています。

 株式会社日添では、課題に寄り添った事業計画の提案や共同開発を行っていますが、「コンサルだけ」の受注はせず、開発した商品を提供するための飲食店を運営するなど、一緒に商売をして、一緒に汗をかきながら事業をつくっています。また、村内の人にできないことをできるように、村外の手伝ってくれる人を探してマッチングしており、地元の仕事をセットにしたワーケーションを誘致して地元との交流を生み出すことなども実施しています。

 大事にしていることは「日添ができること」を提案しないことであり、できる人を連れてくること。連れてきた人は、必ず五木村のファンになるそうです。

 五木村では、国の総人口予測では2020年に908人だったものが、実際には931人と23人増えており、日添があることで「楽しみ」と「稼ぎ」が生まれ、人口減少にも歯止めをかけられるのではないかと締めくくられました。

〇プレゼンテーション2

「地域資源を活用したソーシャルビジネスの今~竹の市場と展望~」

 江原 太郎 氏 LOCAL BAMBOO株式会社 代表取締役Director(宮崎県延岡市)

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 宮崎県延岡市で『LOCAL BAMBOO株式会社』を経営されている江原氏は、東京の大学を卒業後、東京都内最大級の屋上貸農園で農家と都市生活者をつなぐマネージャーを経験され、2019年に故郷の延岡市に拠点を移されました。延岡市では、"食べ物付き情報誌"の「宮崎ひなた食べる通信」をスタートさせ、現在は「延岡メンマ」の他、複数の事業を手掛けられています。

 LOCAL BAMBOO株式会社は「竹を活用し竹のように成長する。地域を変える。」をミッションとし、「竹を活用し、一次産業を活性化させる」ことを事業の軸にしています。

 2019年1月に実家の山や畑を見てメンマづくりを着想し、2020年11月に「延岡メンマ」を発売。1か月に約2回のペースでメディアに登場し、2022年9月にはANA国際線ファーストクラス機内食に「延岡メンマ」が採用されました。

 まだ設立から3年もたっていない会社が採用される背景には、放置竹林をどうにかするためにサーキュラーエコノミー(循環型経済)でSDGsの実践に貢献するという理念が評価されたところもあるそうです。

 放置竹林の解決を考えた時に、江原氏は山の整備はスケールが大きすぎて無理と判断し、「メンマ」という解決方法を選択しました。これは、規格外のたけのこを利用することで歩留まりが良い、鎌などで切り取れるために土から掘り取る作業が不要、特段の加工施設が不要というメリットがあるそうです。

 「延岡メンマ」というブランドを立ち上げられましたが、その理念を「こんなに美味しいものを人類は放置していた」と表現され、放置竹林という課題を、ごはんやパスタ、パンなどの主食に使うことでメンマの消費を促すことにより解決しています。

 江原氏が事業化していることは、竹で困っている方や団体からたけのこや竹を買い取り、ご当地メンマ等の商品化をしていることです。ここには買い取り、加工、製造など関係団体が多く存在しており、協業して課題解決に向けて動くこと、ステークホルダーをどれだけ作れるかが重要であると結ばれました。

〇プレゼンテーション3

「離島で持続可能な経済活動を実現し、人々が自然と共生しながら豊かに暮らせる未来を目指します」

 三田 かおり 氏 株式会社Retocos 代表取締役 (佐賀県唐津市)

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 三田氏は、福岡の百貨店で美容部員として働いたことが化粧品業界と関わるきっかけとなり、その後ジャパンコスメティックセンターで、化粧品と地域振興に携わるコーディネーターとして働かれ、2021年に『株式会社Retocos』を設立されました。

 現在は唐津市にある8つの離島をベースに活動しており、「地方の離島で持続可能な経済活動を実現し、人々が自然と共生しながら豊かに暮らせる未来を目指します」というビジョンを掲げています。

 離島には、住民の高齢化、環境保全、遊休耕作地など地域課題が多いのですが、Retocosがハブとなって島の魅力を再発見・再構築し、循環型の仕組み作りを行っています。

 「コスメ原料を作る・育てる」事業としては、漁業が衰退した島で椿の実のプレスやろ過、別の島では甘夏の皮の蒸留、また別の島では耕作放棄地で「オーガニック」と言える有機JAS認証を取得し、ハーブの栽培や養蜂なども行っています。フレッシュなハーブを低温真空蒸留することにより、海外産とは香りが全く違う高品質の原料がとれています。

 この事業は障がい者にも手伝ってもらっていますが、社会参加による「やりがい」と「高賃金」の両立をかなえています。

 「商品開発事業」では、"ユナイテッドアローズ"や"再春館製薬所"等のブランド化粧品の開発の他、著名なデザイナーやメイクアップアーティストとのコラボレーションも行っており、佐賀国際空港ターミナルビルにある県産品ショップへもオーガニック商品を提供しています。

 「体験価値の創出」事業では、佐賀大学の学生や子どもたちとの「キチづくりワークショップ」や、50名のボランティアが集まった「ツバキを使ったハンドスプレーづくり」を行いました。また、福岡の子どもにとって島を学ぶ場にする「離島留学」の運営も行っています。

 三田氏はRetocosの事業を島の地域課題解決と持続可能な経済社会の確立の両面からとらえており、特産品開発に留まらない、地域主導型で進める事業を目指しています。

 離島に元々ある資源と新しく育てる事業により、関係人口を増やし、雇用を創出し、経済を創出して島を次代へ引き継ぐことを目標にしており、「持続可能な事業の仕組みづくりを実践し、地域課題を解決します」と語られました。

◆意見交換・質疑応答

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 意見交換では登壇者に対して、地域での高齢者と若者の交流、低価格商品で売上を積み上げていく方法、現地に人を呼ぶための工夫等、様々な質問や意見が出されました。

 参加者からは「どのような環境でもビジネスは成り立つということを実感しました」「事業への取組方がしっかりしていてビジョンも明確だな~と感心しきりでした」等の感想をいただきました。

 台風14号の被害や影響がまだ残っている中でご登壇いただきました講師の皆さま、ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました。